時効警察#9(最終回・三木聡担当)
2006.03.11 Sat
時効警察#9(三木聡担当回)
「さよならのメッセージは別れの言葉とは限らないと言っても過言ではないのだ!」
あっという間に来てしまった最終回。
そもそもユルい動機で始まった霧山の趣味による時効捜査も、お金がなくなってきちゃったというこれまたユルい理由で今回が最後です。
しかぁーし!
次から次へと押し寄せる小ネタの奔流にのまれてどんぶらこっこと流れていけば、そこは、感動のフィナーレ…なわけないだろ。
自分でローテンション・ドラマっつってんのに何を熱くなっているのでしょう私は。大丈夫か俺。眼鏡が曇ってるよ俺。
今回、時効を迎えた事件は、作曲家の雨田潮が秘境の塩砦温泉で殺されていたというもの。
類まれな音楽的才能と破天荒な私生活ぶりから「下町のモーツァルト」と呼ばれていた雨田は、死に際に「サリエリ」という血文字を残していました。
サリエリとは、モーツァルトの才能を妬んで殺害したのではという噂になった男性音楽家。
そのため捜査は男性容疑者のみに絞られたが、結局のところ、犯人を確定するに至りませんでした。
この雨田の周辺人物として登場するのは以下のとおり。
【冴島翠】
雨田の愛人だった。今は作曲家として活躍、年に1回だけ曲を発表する。今年は15曲目。
【みの虫男】
雨田の死体の第一発見者。ぶら下がり続ける男。確定申告もしてるし結婚もしてるらしい。
【木田次郎】
音楽の専門家。みの虫男に、当時の雨田が作っていた曲について尋ねてきた。雨田の曲と冴島の曲の共通点=小指をあまり使わないことを霧山たちに教え、事件解決のヒントとなる。
【アンズ】
雨田の愛人で翠と三角関係にあった。事件当時、雨田に塩砦の別荘を貸していた。今は行方不明。
【占部】
雨田を舎弟にしていた。女性問題で揉めて、雨田の小指をピアノの鍵盤に挟んで破門にした。その後も付き合いはあったらしく、金銭問題があったことから雨田殺害の容疑者にあげられていた。
これらの人々を訪ね回るために霧山は定期預金を解約し、三日月は例の婚姻届に勝手に記入と捺印を埋めて完成させて共に一線を越えるのでした。
「やってしまった、えっへっへ」
そして最終回ということもあってか、管理課の面々が時効捜査に絡んでいい味出してます。
□熊本課長は霧山に代筆を頼んだ子どもの詩が入選して困ってる
→「誰が作ったものだろうと作品が良ければいい」と子どもの担任が言った
→冴島が発表してきたのは雨田の曲だと思いつく霧山
□課の慰安旅行に塩砦温泉を提案し、時効調査を兼ねようとする霧山
→地図の「やわらか地蔵」が気になってみんなで行くことに
→十文字たちへのお土産もやわやか地蔵
□又来が嫌な夢を見た、サネイエは悪夢を見たことがない
→「デュマ・デュマ・デュマ」と唱えると悪夢を見る
→冴島に悪夢を見させて作りかけの曲を弾くよう仕向ける
□冴島の演奏を隠し撮りする又来と三日月
→落ちた又来を三日月が助ける
→その拍子に婚姻届が風に飛ばされる
→最後にまた又来が署内で白紙の婚姻届を拾ってくる
継続して観てきた視聴者には嬉しい小ネタとして、
□#1の警官の兄(役者は同じ)が事件当時の担当者として登場
やっぱり霧山と謎の慣例で一致する(ソーセージは曇りの日に食べた方がおいしい)
□冴島のところに居合わせたデザイナーが英国人
どうして英国人は日曜日に眼鏡をかけるのか(#1のネタ)理由が分かる
□嘘をつくと汗をかくので眼鏡が曇ったり、髪型が変になったりする
□公園で三日月が霧山といい感じ?になったところへ、熊本がトイレから出てくる(#2ではトイレを借りにきた)
などなどありましたが
やはり今回の一番のネタは冴島の15番目の曲の後半です。
これは元の雨田の譜面が半分しかなく、後半だけ冴島が自分で作ったため、これを聞いた木田曰く「これはひどい。深夜ドラマのテーマソングか?」
そう、いつも霧山が時効事件の謎を犯人の前で解き明かすときに流れるあの曲でした。
最後の時効事件を解決して帰りのバスに乗った霧山と三日月の、車中でのやりとりが、短いけどぐっときました。
「今まで色々ありがとね」とあっさり言う霧山に、もう本当にこうやって彼の趣味に付き合って色々やることもないんだーと思ったらしい三日月が泣いちゃいます。
でも霧山には彼女の泣く理由が分からないのですね。
翌日、又来が署内で白紙の婚姻届を拾ってきて、またジャンケンで負けた霧山が名前を書く羽目になります。
最後は普通の顔をして書いてる霧山のアップで終わりでした。
毎回、違う人が担当してきた「時効警察」。
それを通して見て思ったのは、私は三木聡担当の回が一番好きらしいってことです。
もちろん他の回も、それぞれの監督さんの特色がそれぞれに発揮されてて面白かったです。適度に設定の統一もされていたのか、最初に危惧していた「濱マイク」のような現象、毎回のトーンが違いすぎて視聴者に疲労感を募らせるということもなかったように思います。
だからここから私が書くことは、なんで自分が三木聡担当回を好きなのかという、超私的考察にすぎません。
「時効警察」の劇中に小ネタを仕込んでいたのは三木聡に限りません。が。
私が彼の小ネタをとりわけ愛するのは、それがいわゆる「日常ネタ」だからなのだと思います。
#1や#9の冒頭での管理課の会話。すごくユルユルでくだらない。私はそれを見ていて、「現実に俺ら、いつもこういう下らない会話ばっかしてるよなー」とふと思うのでした。
そういうふうに、日常と地続きだと感じられるものがとても多いのです。
「やわらか地蔵」って何だろう?
じゃあってんで慰安旅行先をここにして、みんなで見に行く。
行ったら本当に柔かい地蔵があった。
それで「なんか得した気分」をみんな味わう。
管理課の面子は通常のドラマにあるような「使命」とか「信頼」とか「友情」とか「愛」とか、逆に「裏切り」とか、そういう抽象的な言葉で括られる何かを分かち合ってはいないんです。
ただ長い時間を一緒に過ごすことで生まれる、この人たちの間に流れる共通の「空気」みたいなものがある。
三日月は交通課だから、ちょっとそこに入ってみたり、眺めていたりして、変なのーと思いつつちょっとだけいいなーと思ってる。
そういう、ごくごく微妙な立場とか距離感が出ている。
そして究極的には、三木聡は、こういう日常を愛しているんだと思うのです。
日常、ラブ!
劇的なことなんか何ひとつ起こりゃしねぇ俺の日常を俺は愛してる!
最後、三日月は霧山ともう時効捜査はできないけど、また管理課に出向いていってにこにこ霧山を見ています。
彼女は霧山を見てるだけで楽しいんだな、と思って、私はちょっと嬉しかった。
中学生みたいだって言われるかもしれないけど、好きな人を見てるだけで楽しいって感覚、いいじゃないか。28歳の女性がそういう感覚で幸せでいるっていいと思う。
つうわけで「時効警察」、最後まで楽しく視聴することができました。
制作者のみなさまに慎んでお礼申し上げます。ありがとうございました。(退場)
コメント
*よろしかったら…
以前「時効警察」のエントリに一度TBさせていただいたことがあります。自分のエントリはいつも細かい「日常(=小ネタ)」ばっかり追っていてドラマのつくりなどに細かく評論を加えていないのでその後TBはしていなかったんですが…。
せっかくいろんなブログに今回のドラマでお邪魔して、皆さんそれぞれ熱く時効警察を語っているので、どれがいちばん楽しかったかを募集してみることにしました。
東目堂さんは三木さんのがお好きということでしたが、どれが「マイベスト時効」だったか、お時間がありましたらコメントをよろしくお願いします(もちろん、急ぎません)。
*でゅわっ
私の記事も評論などと呼べる代物では…世界の端で○○が好きだと叫んでいるだけですので、かしこまる必要などないですよ。どうぞお気楽極楽に。
それではこれからコメントに参ります。でゅわっ。
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