時効警察#8(ケラリーノ・サンドロヴィッチ担当回)
2006.03.04 Sat
「なんだいきなり体術」ってなんだ。
時効警察#8 ケラリーノ・サンドロヴィッチ担当回
「桜咲く合格通知は死への招待状!?」
テレビブロス3/4号で時効警察の特集をやってます。#1から#7までのおさらいと、次回#9でトリを飾る三木聡監督のインタビューが載っています。
そこでの三木聡さんの最後の言葉がぐっときました。
「これは僕の担当回限定ですが、(中略)このままぱ〜と暴走して、春の桜の頃にはみんな忘れてて、夏ぐらいに昼寝から目覚めて『あれ?なんだったんだろう?』とか思って頂ければ幸いです」
時効警察#8はそんな、春の桜の頃の事件の話。担当したのはケラリーノ・サンドロヴィッチだけど。
15年前、朝日ヶ丘大学に合格したばかりの女子高生・立花律子が森の中で殺された。凶器は制服のスカーフ。
被害者は当日、合格祝いで「森の荒熊」という喫茶店に友人の関ヶ原弥生と閉店まで居ました。
その森では痴漢が多発しており、警察は同一人物の犯行とみなして痴漢の犯人(霧山似)を逮捕したものの、被害者が殺害された時刻にそいつは別の人に痴漢をはたらいていたことが判明。殺人の容疑だけは晴れるのです。
被害者の友人だった関ヶ原弥生は、今では朝日ヶ丘大学の数理学の助教授になっています。
30代前半で助教授ってどれだけ論文出したのやらと思いますが、実は自分では論文を書けない彼女。助手とかに書かせて自分が筆頭著者?
うわぁ…生々しい。
霧山は弥生が真犯人ではないかと疑い、被害者が最後に居た「森の荒熊」、犯行現場の森、凶器となったスカーフに「Я」を書いたクリーニング店を訪れ、そこで人々に聞き取りを行います。
ポイントは以下の四つ。
1)「森の荒熊」のマスターは前向性健忘で新しいことは3〜40分の間しか覚えていられないため、常にノートに出来事を書き留めている
2)律子らの担任によれば律子は数学が苦手で、弥生は国語が苦手だった。朝日ヶ丘大学の入試ではこの両方が課せられる
3)凶器となったスカーフの「Я」は当時の警察が判断したような律子の「R」ではなく、ロシア語で「ヤ」と読む
4)どうして律子はまっすぐ帰らずわざわざ森に入ったのか?
まあ、サスペンスとしては相変わらずゆるゆるでした。
特筆すべきは映像面での遊びと、オダギリジョーが実は変態顔なのだと要らんことを指摘するサイドストーリーの妙でしょう。
井の頭線三人組のうちの、下北沢の下着を盗んだ男が霧山にそっくりで、最初は霧山が下手人だと誤解されます。
多め亭という食堂のおばちゃんの反応で、自分にそっくりな男がいることを知る霧山。そして替え玉受験という発想につながるわけです。
三日月のセーラー服はまあ、お約束ってことでいいんですけど。コスプレパブか?
しかし霧山までセーラー服を着る意味はあったのか。いやはや、今回の映像は永久保存版ですな。
ところでケラリーノ・サンドロヴィッチさんのことは私、寡聞にしてよく存じ上げないのですが、何気に海外の映画や文学のネタを入れてるのかなと思いました。
霧山が弥生に「森の荒熊」の名前の由来を話すとき「森の熊さん」の男性コーラスが流れてきて、霧山の後ろに実際にコーラス部隊が立っています。
同じような手法が、映画「ミフネ」なんかで使われています。
「ミフネ」はドグマ95シリーズのひとつで、このドグマ95では例えば音に関してなら、映像とは別のところで音を作り出してはならない。
そこで「ミフネ」は男女が家の中で踊るシーンで情感のこもった音楽を流すために、何の脈絡もなく演奏隊を本当に画面上に配置して演奏させてました。
これがいい具合にファンタジーの要素を映画に引き込んでいて…違う話になりつつあるな。
あと(まだ続くのかよ)、クリーニング屋の店員ゴーゴリーが、自分の名前はあるロシアの作家と同じなのだと語っているところ。
ジュンパ・ラヒリの小説「その名にちなんで」の主人公もゴーゴリーといって、本人はインド系アメリカ人なのに、父親がある思い入れから自分の持っていた本の著者のロシア系な名前をつけたことで、本人は自分の名前に違和感を感じているというはいこれもまた違う話になってますね。ごめんなさい。だいたいにおいて私は勘繰り過ぎですね。
その他、自分が笑ったところを箇条書きで。
■数学クイズをやっている時効管理課の面々。脈絡もなくザリガニやカメといった生物を手にしている
■何でも多めに出してくる多め亭、「ほとんど何もない」で1200円
■朝日ヶ丘大学の入学生に受験科目を訊く霧山、その挙動不審さに学生らの「あっち系か?」などという内面の呟きが字幕で表示され、最後に霧山が「あっち系じゃないよ」と口頭で返す
■犯人が使ったスカーフが本当に被害者のものだったのか確かめるため、三日月にセーラー服を着せて実演してみる霧山。ここが冒頭の「なんだいきなり体術」の箇所。霧山が変態だと思って、でも好きと思って、そういうプレイが始まると心構えをしていた三日月が哀れで面白い
と、こんな感じで毎回いろいろ探す楽しみを与えてくれた「時効警察」。もう来週で終わっちゃうのが残念です。うー。
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